今週も凄まじい週でしたね。以前から少し話題に取り上げていますが、WTI原油先物の5月限が -37.63ドル という数字を付けました。WTI原油先物価格がマイナスを付けたのは史上初とのことです。
歴史的な瞬間を記憶しておくためにもまとめておこうと思います。
原油先物価格がマイナスになったのはなぜか?
マイナスとか凄いですよね。ちょっと前までTwitterでは以下のような発言も飛び交っていました。
「原油があり得ないほど安い!今買っておけば経済活動が回復した際に原油は上がるから確実にもうかる!」
まぁ経済活動が回復すれば原油価格が戻るのはそうだと思います。しかし、底値が近いと思って購入した方々はマイナスまで予想していなかったのでしょうね。
商品先物という性質上期限内で売買する必要がありますが、マイナスになった理由は以下の通りですね。
- 新型コロナウイルスの影響により経済活動が低下し原油の需要が大きく後退した
- 原油貯蔵施設の限界に達して、原油を保管するための場所がなくなり受け取ることができなくなった
この状態で原油が供給されるとどうなるでしょうね。消費されない、生産はされる。その結果、貯蔵施設が限界を迎えて引き受けて手がいなくなる。その結果、価格を払うから原油を引き受けてほしいという事態が起きたわけです。これがマイナス価格の意味ですね。
マイナスとなったのは5月限の商品です。WTI先物5月限の取引最終日は4月21日ですので、期限ギリギリに誰か受け取ってくれ~~ということで価格が大きく下がったということですね。
6月限の商品に関してはまだ取引期限がありますのでマイナス等にはなっていませんが、供給過剰・消費低迷が続けば同じような状況になる可能性がありますね。
中国では中国銀行が販売している「原油宝」という商品で多額の損失を出す投資家が。。
中国だけに全然かぎりませんが、底値付近だと思い軽い気持ちで原油を購入した人には多くのダメージが出たはずです。
以下のウォールストリートジャーナルの記事にも似たような話が掲載されています。「原油宝」という金融商品で、原油先物価格と連動する商品のようです。
この商品の期限がWTIの5月限の価格がマイナスになった20日に定められており、-37.63ドルで清算されたことになる。
マイナス原油で大やけど、リスク好きの中韓投資家 - WSJ
これは、、全額を失ったということですよね。。さらに以下の記事によると顧客は損失分の支払い義務も生じているとのこと。全額を失うだけでなくさらにという。。(マイナス分の支払いもあるというのが、商品性質まで調べていないので詳しく分からないのですが)
個人投資家は当初の損失約2億元(約30億円)に加え、原油先物がマイナスに落ち込んだことで中国銀行に対して約4億元の支払い義務が発生したという。
原油価格の急落、中国銀行顧客に91.5億円の損失発生-金融商品投資で - Bloomberg
米WTI原油先物の受け渡し場所は、オクラホマ州のようです。
余談ですが、WTI原油の受け渡し場所は決まっており、米オクラホマ州クッシングにある原油貯蔵施設になるようです。貯蔵能力は9200万バレルとのことですが、4/21時点のニュース記事によると70%程度が利用済みのようで限界に近づいているようですね。
イメージですとタンカーからの受け入れをするために海岸付近にありそうなもんですが、かなり内陸部ですね。パイプラインで運ぶのかな?
まとめ
商品先物というのは最後ものを受け取れるかどうかって重要な要素かもしれませんね。このように暴落している状況でも受け取れて保管できる人は最後には勝てるのでしょう。(需要回復をまてるので)
まぁ、原油を個人で保管など不可能ですけどね。そう考えるとやはりコモディティ(商品)というのは軽い気持ちで手を出すものではないですね。と心に刻んだ週でした。