はじめに
昨日から続く金融用語を学ぶ会です。今回取り上げるのは「キャリートレード」です。
前回の記事では、「リスクオン」、「リスクオフ」の意味に関して説明しました。この記事の中で、リスクオフ(景気後退期)時に円が買われる理由に関して説明しています。
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その仕組みになっている理由が、この「キャリートレード」と呼ばれるものです。
キャリートレードとは
では、「キャリートレード」とは何かに関してです。
「キャリートレード」とは、世界各国の金利差を利用した取引により収益を得ようとするトレード手法です。「キャリートレード」のほか「キャリー取引」とも呼ばれます。
世界各国の金利には高低差があるのは皆さんご存知の通りかと思います。「キャリートレード」とは、低金利通貨で資金調達を行い、高金利通貨で資金運用をする手法になります。
特に2008年前半頃まで、つまりリーマンショック前まででしょうか。低金利の日本円やスイスフランが資金調達に利用されていたみたいですね。
言葉で説明してきた内容を図式がすると上記になります。至ってシンプルな話です。低金利で資金を仕入れて、高金利で運用する。その金利の差が収益の源泉になるということです。
キャリートレードのリスク
当然ですが、キャリートレードにもリスクがあります。
- 為替変動リスク:金利差で儲けることができても、通貨に大きな値動きが発生すると為替変動により損が発生する可能性があります。
- 利上げリスク:調達用の通貨の金利が上昇することにより金利差が縮小するリスクです。資金調達は通常、短期資金の借り入れで行われます。短期資金ということは、その国の中央銀行が利上げするという観測が強くなると短期金利も上昇してしまうのです。
- キャリートレード解消の動きによる価格下落:これはキャリートレードの運用をやめる際に、投資対象を売ることによる価格下落を意味します。特に、景気後退などで多くの機関投資家が同じ動きをする場合は、売りが重なり価格が大きく下落する可能性があります。この際には、為替変動リスク同様に損失が発生する可能性が大きくなります。
キャリートレード解消時の動きは上記図式になります。図では金利差消失を理由に挙げていますが、理由に関わらず解消の動きは同様です。もし、低金利通貨として円を用いて資金調達をしている場合は、このタイミングで円が大きく買い戻されるわけですから、円高側に動くことになりますね。
以下は2019年3月のロイターの記事ですが、キャリートレードが再び人気となっているみたいですね。リスクに挙げた通り、ボラティリティが大きいと為替変動リスクにより実現できない手法なので今は環境がキャリートレード向きのようです。
今年に入って資産価格のボラティリティが急低下したため、投資家の間でいわゆるキャリートレードが人気の取引の1つになっている。
ボラティリティは、主要中央銀行が利上げの手を休めると決めたことを受けて大きく下がった。ソシエテ・ジェネラルのアナリスト、キット・ジャックス氏は、年初からの市場の「天下泰平」ぶりこそ、キャリートレード成功の完全な処方せんだと話す。実際、外国為替市場のボラティリティは数年ぶりの低水準近くにとどまっている。
その結果、HSBCのグローバルFXキャリー指数に基づくと、今年これまでのキャリートレードのリターンは5.5%に達する。米金利上昇に伴って新興国市場から一斉に資金が流出した昨年のリターンはマイナス1.4%だった。
焦点:キャリートレードが再び人気、足元は「理想的環境」 - ロイター
各国の金利状況
ちなみに、各国の金利状況は以下のようになります。マネックス証券がまとめた一覧ページを用意してくれているため、参考の載せておきます。うん。円低いなw。
2019年9月13日次元の各国の金利状況
各国政策金利表/マネックス証券
まとめ:金利に関しての勉強は大事
ということで本日はキャリートレードに関してでした。
金利差を利用したトレードになるわけですが、我々の身近にも金利に関係したものがいっぱいありますね。金利を理解することは経済を理解することにつながることだと思うので、金利に関して勉強しておくのはお勧めです。
ほら、お金を借りるときにも利息の支払い方法とかありますよね。住宅ローンとか金額が大きいだけにバカになりませんから。金利に関してはちゃんと理解しておきましょう。