はじめに
「システムトレード(シストレ)の道具箱」シリーズです。
シリーズの始まりとなった記事はこちらです。
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前回は資金管理と破産確率の話をしました。
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前回の記事にも書いていますが、トレードルール作りの中で最も大切なものは「破産しないための資金管理」ですね。
FXで買った!負けた!と一喜一憂する人が多いですが、負けた際に失う金額はどの程度になるのか、自身の資金の何割にあたるのかを考えてトレードすることが大事ですね。
で、今回は資金管理の大切さを学んだ上でトレードにどうやって活かすかを考えていきます。
最適な資金管理とは?
さて、どのような資金管理が素晴らしいものでしょうか?
前回から、資金管理と破産確立を取り上げていますので「破産しない資金管理」が最も素晴らしいものでしょうか?
恐らく少し違いますね。1億円の資産がある人が100万円だけ使ってトレードをすればそれは破産はしませんが、大変資金効率が悪いです。
そう考えると我々が欲しているのは、
破産しない程度に最大限の資金効率を可能とする資金管理
となるのではないでしょうか。まぁ相反するので難しそうですね。ですが、いかにこの資金管理に近づけることができるようになるかがポイントです。
もう少しかみ砕くと、
ある程度連続して負けても破産しない程度の資金量でトレードを行い、利益を最大化する
これが私の認識です。要はドローダウンに耐えられる資金量トレードができていれば良いわけです。
資金管理の手法として「タートルズの資金管理手法」をベースに考える
では資金管理の方法を学んでいきたいと思います。
資金管理 = ある程度連続して負けても破産しない程度の資金量でトレードを行い、利益を最大化する
ということなのですが、色々な管理方法がありそうですよね。これは実際に多々あると思います。
今回は、最もベーシックといいますか、トレードで大成功した先人が考えた資金管理手法を学んでいきましょう。本手法は非常に応用性があるものになっていますので、後々自身のアレンジを入れていくことも可能です。私もこの手法をはじめに学んで、そこから自分なりの手法に変えています。
で、その手法の開発者は「タートルズ」と呼ばれています。
タートルズとは?
タートルズは天才トレーダーと言われた、リチャード・デニス、ウィリアム・エックハートが作ったチームです。彼らは、「未経験のトレーダーを集めてトップトレーダーに育てることは可能か? 」という実験を行いました。その際に彼らの投資手法を教えたわけですが、その手法の一部がまさにこの資金管理となります。
ちなみに実験は大成功で終わり、多くの優秀なトレーダーを輩出しました。
もう少し興味があるようでしたら実際にトレードを学んだ人の書籍が販売されていますので、読んでみると良いかと思います。
タートルズは非常にシンプルなトレードルールを利用していました。それにもかかわらず莫大な利益を上げています。その利益の源泉は、資金管理であると書籍でも述べているのです。
トレードルール・手法と言われると、エントリー・売買タイミングを考えがちですが、資金管理こそが重要な要素であるということですね。
(タートルズの)資金管理の手順
では、実際に資金管理の手順を学んでいきましょう。とはいえ、やることは結構シンプルになります。まずやるべき事はこちらです。
- Step1:投資資金の総額を把握する
- Step2:1度のトレードでリスクに晒す金額(割合)を決める
- Step3:Step1,2の数値を元に、銘柄の1回のトレード枚数(ユニット)を算出
- Step4:増し玉、ロスカットの条件を決定する
まずポイントとなるのが、Step3のユニットの算出ですね。ここが重要です。今回の記事では、Step3のユニットまで扱うことにします。
ユニットという考え方
ユニットとは、1回のトレードでとれるリスクを元に算出した、トレードサイズとなります。
このユニットは「資金量」と「ATR」を用いて算出ができます。言葉での説明より実際に計算をしていきましょう。
ATRとは
ATRは一般的なテクニカルトレードでも出てくる指標で、アベレージ・トゥルー・レンジと呼ばれるます。
特に、トゥルー・レンジは真の値幅とも言われ、要は1日に動く最大の値動きを示します。
ATRは、トゥルー・レンジのアベレージ(平均)ということで計算方法は以下となります。
ATR = TRのN日移動平均
TR(トゥルー・レンジ)は以下のうち値が最大なものを採用
- 当日高値-当日安値
- 当日高値-前日終値
- 前日終値-当日安値
これはボラティリティの概念ですね。リスクを算出するために値動きを大きさを算出して、その大きさに応じてトレード量を調整することになります。つまり、ATRが大きい場合は変動幅が大きいためトレード量を減らしてリスクを調整、ATRが小さい場合は、変動幅が小さいため、トレード量を増やします。
ユニット計算方法
では、ユニットの計算をしてみましょう。
1. 1度のトレードに利用する資金量を決定する
この値を決定するには、「投資資金額」と「一度のトレードでとるリスク(%)」から計算します。
A = 投資用資金 × 一度のトレードでとるリスク
※例えば、一度のトレードでとるリスクは1%等。
トレード資金が 100万円 で、1%の資金を一度のトレードで利用する場合は、1万円がトレードに充てる原資となります。
2. 銘柄のリスクを計算する
こちらはトレード対象銘柄のリスクの算出です。既に説明しましたが、ATRが値幅を示します。このATRが大きいほどリスクが大きくなるため要注意となります。
また、銘柄によっては最小取引単位があるかと思います。そのため、以下の計算式で実際の値動きの大きさを計算します。
B = 最小取引単位 × ATR
3. ユニットの計算
ここまでくればユニットの計算はもうすぐです。
「1度のトレードに利用する資金量」、「銘柄のリスク(値幅)」を利用することで、現在利用できる資金からどの程度の枚数を買うことができるかを計算できます。
ユニット = A / B
= 1度のトレードに利用する資金量 / 銘柄のリスク(値幅)
この1ユニットのサイズが、1回のトレードで保有できるポジションサイズとなるわけですね。”A"の値である「1度のトレードに利用する資金量」でリスクに晒す金額の割合を決めており、その値を元に取引量を決めているため過度なリスクを取ることを防げるわけですね。
まとめ
今日はここまでにしましょう。
Part2の資金管理と破産確率をふまえて、ポジションサイジングの方法に関して触れました。
実際に、なにも根拠なくポジションを持つのと、リスクを計算したうえでポジションを持つのとではいつ損切する必要があるかの判断に大きな違いがでます。
事前に判断ポイントを決めておくのが重要です。
参考になる書籍
マーケットの魔術師(システムトレーダー編)
システムトレード基本と原則
タープ博士のトレ-ド学校ポジションサイジング入門
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