はじめに
ここ数日は株式市場が慌ただしいですね。特に世界経済の中心である米国が賑やかです。その原因となっているニュースがこちら。
さて、人によっては「イールドカーブって何それ?」という方も多いかと。「イールドカーブでなぜ投資家の心理に変化がでる?」と思っているのではないかと。
本日はこの「イールドカーブの意味していること」に関してまとめてみます。
そもそもイールドカーブとは!?
イールドカーブ(Yield curve)とは利回り曲線という意味です。
具体的には横軸に債券の償還期間(満期までの期間)、縦軸に利回りをプロットしたグラフになります。
これをプロットすると以下のようなグラフになります。
図に順イールド・逆イールドという記載があると思います。順イールドとは償還期間が長いほど金利が高くなること、逆イールドとは償還期間が短いほど金利が高くなることを示していると分かると思います。
さて、皆さんこれを見て何を思いますか?
順イールドに関しては私たちの感覚通りかと思います。長い期間預けるほど高い金利というのは普通ですよね。これは長期間の所有リスクがあると考えられるからです。この期間、我々は資金を自由に利用できませんから。
この状況が逆転してしまうことが逆イールドという状態です。長期ではなく短期の期間預ける方が金利が高いというのは変な感じですよね。この状況は通常の状態ではなく、一般的に景気後退の兆候と考えられているのです。実際にリーマンショック時や、1999年から起きた不景気でも逆イールドが発生しています。
ではなぜ逆イールドは景気後退の兆候となるのか?
これには金利の決め方についての理解が必要です。
まず、短期金利は中央銀行が決定します。国内の景気状態を鑑みて調整するのが中央銀行の役目です。
例えば、景気拡大傾向の場合は景気の過熱を抑えるために金利を引き上げます。金利が高くなればお金を借りにくくなるということで経済活動が抑制されることを期待しているからです。
一方で、景気後退傾向の場合は金利を引き下げます。これによりお金を借り易くして経済をまわそうとするわけです。上記から、短期金利は中央銀行の判断により影響を受けます。
では、長期金利はどうでしょうか? 実は長期金利は市場の参加者が決めると言われています。短期金利をベースとしつつ今後景気が良くなると市場が判断すれば長期金利が上がりますし、景気後退と判断すると長期金利が下がります。
つまり、逆イールド=長期金利が低い=景気に対して市場が悲観的 ということになるのです。これが景気後退の兆候といわれる理由です。
まとめ:とはいえあくまで兆候であり100%景気後退になるわけではない。
以上、簡単ですが逆イールドに関してでした。
一方で、歴史を遡ると100%景気後退の兆候を示していると言えるわけでもありません。あくまで指標の一つとして捉えるべきというものです。
*1:参考リンク: イールド・カーブに注目 | ピクテ投信投資顧問株式会社